【平成18年・山岳10大ニュース】

@旭岳「大雪山愛の鐘」が寄付により修復
旭岳中腹の遭難者慰霊塔「大雪山愛の鐘」が修復された。新しい愛の鐘は、塔の高さを従来より低い3.95mにして全体を補強。塔の色はこげ茶色で、緑と残雪の景観に溶け込んでいる。設立管理運営委員会への寄付は約205万円。維持管理費の確保のため、募金は引き続き受け付けている。

A旭岳で遭難事故・2人死亡
旭岳で10月に入り、遭難事故が相次ぎ2人が死亡。千歳市の無職中島浩次さん(37)は、旭岳7合目付近の南斜面で、捜索中の道警ヘリに遺体で発見。死因は外傷性脳出血。発見場所は登山道から約50m外れた地点、登山道から足を滑らせた。東大名誉教授で旧核燃料サイクル開発機構元理事長の都甲泰正さん(78)は、旭岳4合目付近の通称盤の沢で、捜索中の道警山岳遭難救助隊に遺体で発見。遺体は旭岳ロープウェイの終点「姿見駅」から南に約1キロの登山道を10mほど外れた地点で見つかり、ヘリで収容。登山道から足を滑らせた可能性。

B携帯トイレを有料化・利尻山
利尻山登山道等維持管理連絡協議会は、利尻山の登山者にこれまで無料配布していた携帯トイレを有料化した。携帯トイレは縦54p、横64pのポリエチレン製の袋。内側に水分を吸水して凝固するシートが張り付けてあり、密閉式の収納袋に入れて持ち運べる。し尿による自然破壊を防ぐのに効果的。観光案内所や宿泊施設など、従来の配布先のほか、観光物産店や商店など島内約70カ所で1セット400円で販売。

Cトムラウシで遭難・7日ぶりに発見 
 トムラウシ山に単独で登り、行方不明になっていた埼玉県所沢市の無職長明敬造さん(70)が、新得町屈足のユウトムラウシ林道で、入山から7日ぶりに無事発見。長明さんは疲労がたまり、額に擦り傷を負って病院へ搬送されたが、命に別条はない。キャンプ場から山頂まで500mだったため、持っていた食料はわずかな干しえびとブドウ糖だけ。水はペットボトル1本しかなく、なくなった後は沢水を飲んでしのぎ、夜は沢で野宿。登山歴10年。

D八谷さん・1000m以上の山を全制覇
札幌市の八谷和彦さん(51)が道内にある標高1000m以上の計430の山すべての登頂を成し遂げた。2001年12月シピチャリ山(1627m)に登り、道内の標高1500m以上の山を制した。02年2月には「ガイドブックにない北海道の山50」(を自費出版。06年8月までに、国土地理院の地形図に記される1000m以上の全360峰を制覇。

E雌阿寒岳の入山規制が解除
3/21に小噴火した雌阿寒岳の入山規制が9/1に解除された。

F登山ツアー12人救出・神威岳
日高の神威岳で、中高年の登山ツアー客ら12人が予定時刻を過ぎても下山しないと、ツアーを企画した東京の旅行会社から浦河署に通報。標高500mの沢付近で全員の無事を確認、保護。下山途中の沢が雨で増水し渡ることができず、沢沿いにテントを張って夜を明かす。地元山岳会などが約10m幅の沢にロープを渡し、全員を救出。

Gカムエク・滝つぼに落ち死亡
カムイエクウチカウシ山の通称「三段の滝」で、ロープを使って下りていた札幌市の高橋健太さん(21)が足を滑らせ、4m下の滝つぼに落ちて死亡。水が流れており、滑りやすい状態。

H登山道勝手に作り書類送検
樽前山の登山道が広げられ、高山植物が土砂の下敷きになるなどの被害が出た問題で、自然公園法違反(土地の形状変更)の疑いで千歳市の無職の男(64)を書類送検。樽前山の7合目ヒュッテから風不死岳に向かう登山道周辺の土を削り、長さ15m、幅1mほどの新しい登山道をつくった。男は「軽率だった」と反省。

I低山の円山で転落死
札幌市の円山で村山信義さん(54)が登山中に山頂の崖から誤って転落し死亡。頸椎骨折と全身打撲による。


【その他、気になったニュース】
・『ganさんが遡行(ゆく)北海道の沢登り』 が発売。8/1岩村和彦著。道内の沢登り26ルートを著者の体験をもとにエッセーで紹介。オールカラーの豊富な写真と地図で沢の魅力や臨場感が伝わってくる。(共同文化社、2100円)

・芦別岳で学校行事の登山中に死亡した事故を忘れまいと、旭川商業高定時制の生徒たちが富良野市山部の登山口にある慰霊碑を初めて訪れ、碑の清掃などに取り組んだ。事故が起きたのは1956年6月3日で、定時制の生徒2人が雪渓で滑落し亡くなった。

・利尻山・沓形コース9合目付近で、埼玉県の女性登山客(37)が滑落。右足大腿骨を折る重傷。親不知子不知のポイントを通過中、残雪でコースを見失い、誤って急傾斜地を10m滑り落ちた。

・ニペソツ山で、登山中の札幌市清の伊藤宏さん(69)が足を滑らせて3m滑落し、動けなくなった。ヘリで救助され帯広市内の病院へ運ばれたが、右足首骨折の重傷。現場は天狗のコル付近。伊藤さんは一人で入山。
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