【平成19年・山岳10大ニュース】

@雪崩の事故相次ぐ、計9人
3/18積丹岳で札幌などのスノーモービル愛好者の一行22人のうち14人が雪崩に巻き込まれ4人が死亡、1人が重傷。4/1芦別岳の頂上付近でスノーモービルの男性が転倒して死亡。現場はスノーモービルでの入山が禁止されている区域。11/2上ホロカメットク山で日本山岳会道支部のパーティー11人が雪崩に巻き込まれ、4人が死亡。

A吹雪の十勝岳で遭難死
10/2日帰り登山目的で単独で入山した東京都・公務員横山敏雄さん(47)は吹雪などに遭い、下山途中に遭難。山頂から約700mほど離れた登山道脇のくぼみで雪に埋もれていた。10月でも十勝岳に登るには冬山装備が常識的に必要。

B勉強会を目的に、9年ぶりに駒ヶ岳登山
7/21火山活動のため98年10月以来、関係者以外の入山が禁止されている駒ケ岳で一般登山者を対象にした「火山勉強会登山」が行われた。勉強会の形で9年ぶりに一般向け登山が企画。約320人が参加。勉強会登山は8、9月も実施。

C依然行方不明、知床五湖散策中の観光客
8/7知床五湖の遊歩道で、散策中だった群馬県桐生市・無職斉藤徳次さん(73)が依然行方不明。300人の自衛隊員に加え、道警ヘリや漁船なども参加。陸・海・空からの大規模な捜索も行われたが、得られた手がかりは灰色の帽子一つ。ヒグマに襲われたのではないかという声も。

Dペテガリ岳でベテラン登山者3人が脱水症状
8/14ペテガリ岳で、千歳市の会社員男性ら3人のパーティーが道警ヘリで救助。連日の猛暑による脱水症状が原因。一行は千歳市と恵庭市の40代から50代の男性で、8年から25年の登山歴があるベテラン。8/12、13日の連日の暑さに加え、深いヤブで体力を消耗。水を予想以上に消費し、3日目には水がなくなった。脱水症状も出てきたことから携帯電話で110番通報。3人は道警ヘリで救助、病院に搬送。全員が軽い脱水症状。

Eヒグマの出没減少
10/10札幌市内でのヒグマの出没情報が今秋は大幅減。出没情報件数は、昨年の約6割の52件。今年は餌となる木の実が山に豊富にあるからではとの見方も。

F恵山道立自然公園の区域拡張
 横津岳から函館市最高峰・袴腰岳にかけての一帯
5/18道は横津岳から袴腰岳にかけての道有林1640ヘクタールを恵山道立自然公園の区域として新たに指定すると発表。この区域にはハイマツやハクサンチドリなど高山植物が群生し、袴腰岳南側のアヤメ湿原は道内最南端の高層湿原として貴重。指定区域では植物の採取やスノーモービルの乗り入れには知事の許可が必要。

G新名所・仁宇布の冷水、松山湿原登山口
松山湿原の登山口に向かう林道脇で、わき水が見つかり、「仁宇布の冷水」と名付けた。水は、湧出量は毎秒4リットル程度。水温は6度。簡単に取水できるよう、木道の整備と取水口パイプの取り付け工事を実施。

H登山情報発信、山の駅ほろしり完成
1/10幌尻岳の登山客らに山の情報などを発信する平取町の観光案内施設「山の駅ほろしり館」が平取町振内の市街地にオープン。幌尻山荘の予約も受け付けるほか、観光客や地域住民に憩いの場を提供。

I知床が辿る人と森の葛藤記録
知床世界自然遺産登録の立役者で、斜里町長の午来昌さん(70)が、知床での自然保護活動や5期20年にわたる町政などを振り返った自伝「大地の遺産 知床からのメッセージ」(響文社)を刊行。「しれとこ100平方メートル運動」の推進や12年かけて悲願を実らせた05年7月の世界自然遺産登録など。貧しかった子どもの頃から山歩きに没頭し、知床を訪れる研究者や登山家らとの交流を通じて自然保護活動に目覚めた。貧しかった子供時代から、知床の山を通じたさまざまな人々との出会い、国有林伐採問題や遺産登録までの詳細な経緯や当時の思いが記されている。

【その他、気になったニュース】
・6/288トムラウシ山の雪渓で帯広市・無職今野勝己さん(50)が病死。一人で登山中だった。
・幌尻山荘の利用者が3年連続で3000人を超えた。平年に比べて2倍近い水準。
・中札内村は昨冬の雪崩で外壁が破損、トイレしか利用できなくなっていた日高山系登山の拠点施設「札内川ヒュッテ」を、来年秋までに隣接地に移築、復旧することを決めた。
・富良野岳に入山した札幌市・無職佐藤克実さん(71)が下山途中に登山道のくぼみに足を取られて負傷、仲間とともにビバークして救助を待つ。
 ・深刻化している利尻山の登山道の土壌浸食を少しでも防ぐため、利尻町や利尻富士町など関係機関でつくる「利尻山登山道等維持管理連絡協議会」は利尻山山頂付近に初めて鉄製の長方形の網を設置したほか、土のうを積む維持・補修作業を行った。これほど大規模な作業は初めて。
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