【平成21年・山岳10大ニュース】※順序不同

◆トムラウシ山で中高年ツアー登山客ら9人が遭難、死亡し、美瑛岳でも1人が亡くなる。夏山史上最悪の遭難で、道警は業務上過失致死容疑で東京の旅行会社などを家宅捜索。今回トムラウシ山で遭難したのは、いずれも本州からの山岳パーティーと単独入山者で、このうち、道内在住者は無事だったガイド1人だけ。トムラウシ山で遭難した19人のうち、死亡が確認されたのは、名古屋市内など道外のツアー客7人と、広島県内のガイド1人。死因は低体温症。トムラウシ山山頂付近の気温は10度以下。降雨もあった上に非常に強い風が吹き、平均風速は20〜25m。中高年者が多いことから体力を消耗。死者=単独登山者で茨城県の竹内栄男さん(64)、美瑛岳の遭難事故は尾上敦子さん(64)。アミューズトラベルのツアーでは▼ガイド・吉川寛さん(61)=広島県廿日市市▼ツアー客・市川ひさ子さん(59)=静岡県浜松市、植原鈴子さん(62)=広島県広島市、岡恵子さん(64)=岡山県倉敷市、竹内多美子さん(69)=愛知県弥富市、川角夏江さん(68)、味田久子さん(62)、木村隆さん(66)=いずれも愛知県名古屋市

◆エベレスト(8848m)の「単独・無酸素」登頂に挑戦していた札幌の登山家栗城史多さん(27)は、高度障害による体調悪化のため、標高6400mのアドバンスベースキャンプ(ABC)で登山続行を断念。

◆十勝岳ふもとの楽古川上流の中州で、行方不明だった千葉県流山市の北大山岳部OB大井幸雄さん(73)が遺体で発見。広尾署によると遺体は岩などにぶつかったような跡が多数あり、同署は誤って川に落ち、発見現場の中州まで約1キロ流されたとみている。大井さんは小樽市出身。OBは「本当に山好きで年齢に合わせ、日高の他の山より標高が低い十勝岳を選んだ」と振り返る。十勝岳は登山道がなく沢登りがメーン。

◆喜茂別町の羊蹄山(1898m)で、スキー登山の男性4人が雪崩に遭い、1人が右足を骨折。無線機3基、ビーコン4台、パン10数個。4人は羊蹄山でスキー登山の経験があり、装備は手厚かった。110番通報時も、衛星利用測位システム(GPS)2台を持っていたため、道警はすぐに正確な位置を把握。

◆貴重な高山植物の宝庫・崕山(1066m)。今年は同山の入山規制が始まって10周年。全国でも珍しい全面規制の効果で、かつては荒廃が著しかった植生も確実に回復。しかし、若者の登山離れなどから今後の保護活動の継続を懸念する声もあり先行きは予断を許さない。

◆無意根山(1464m)で、登山中の札幌市・無職坪井敬子さん(61)が頂上付近で滑落。頂上から約500m離れた斜面で坪井さんを発見、間もなく死亡が確認。死因は凍死。 坪井さんは捜索でビーコン(電波受発信装置)の反応が確認された地点で雪に埋もれていた。

◆積丹岳(1255m)に入山した札幌市豊平区平岸一の五、会社員藤原隆一さん(38)が行方不明になった遭難事故で、札幌市内の病院に搬送したが、死亡が確認。道警によると、藤原さんは捜索で、山頂付近から約5、600m南側の標高約千mの斜面で、救助用ソリに乗った状態で見つかった。ソリは約四百m滑って止まったとみられる。藤原さんはスノーボードをするために入山したが、悪天候で遭難。

◆日高山系ポンヤオロマップ岳(1406m)などを単独で縦走中していた札幌市中央区、医師・堀川大さん(59)は、同岳山中で倒れているのを発見、病院へ搬送したが死亡が確認。発見場所は同岳の山頂から西に約450m離れた地点。登山道から約100〜200m下で、同署は堀川さんが足を滑らせたとみている。

◆上ノ国、福島、知内の三町の境界にある七ツ岳(957m)への唯一の登山道がある上ノ国町湯ノ岱地区に、新たな登山道が整備。登山口付近にある「大沼」を通過する東コース(2600m)と、頂上に直接向かう西コース(2400m)の2つの登山道を新設、このうち従来の登山道と重ならない約1000mを新たに切り開いた。両コースとも、従来より安全となり、尾根沿いが長いため、景色が楽しめる。

◆十勝岳山麓にある楽古川上流で、千葉県流山市向小金4の北大山岳部OB、無職大井幸雄さん(73)が、楽古川上流の中州で遺体発見。

【その他、気になったニュース】
◆黒岳(1984m)でスノーボードやスキーをしていて行方不明になった外国人客6人と、別のグループの日本人ガイド1人、外国人客2人の計9人は、一緒にいるところを発見され、道警のヘリコプターで全員、救出。いずれもけがはない。捜索中の道警ヘリが、層雲峡・黒岳ロープウェイ5合目駅から約500m南東側斜面の標高約1300mの同山系紅葉谷付近を歩いている9人を発見、救助。 

◆世界的に貴重な地形や地質を保存し、教育や観光などに役立てる世界ジオパーク(地質遺産)の審査委員会は「洞爺湖有珠山地域」を国内初の世界ジオパークとして登録。 地元では、現地学習会の開催のほか、散策路の整備などが進む。過去100年で4度の噴火を繰り返した有珠山。火山と共生してきた歴史や文化は世界的にも貴重なもの。

◆室蘭岳(911m正式名称:鷲別岳)のふもとに建つ山小屋「白鳥ヒュッテ」が建設60周年を迎えた。60〜70代を中心に道内外の登山愛好家ら約50人が同ヒュッテに集まり酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせる。

◆雌阿寒岳(1499m)に単独で登山していた神戸市西区の女性(38)から「道に迷い下山できない」と携帯電話で110番通報。本別署と足寄消防署、足寄山友会の約15人が登山口の雌阿寒温泉から救助に向かい、5−6合目付近の登山道から数100m離れた場所にいた女性を発見。7合目まで登り返して登山道に戻り9時半ごろ下山した。女性にけがはない。

◆文化審議会は、アイヌ文化を受け継ぐ景勝地として国の名勝に、名寄市の九度山(クトゥンヌプリ)と石狩市の黄金山(ピンネタイオルシペ)を指定。

◆羅臼岳(1660m)に登った兵庫県加西市の無職松本愉四さん(69)が行方不明になって数ヶ月。周辺住民らに情報提供を求めているが、依然、手がかりは見つかっていない。

◆国の天然記念物に指定されている夕張岳の自然保護活動に取り組む市民グループ「ユウパリコザクラの会」は、登山者が利用する山小屋の裏にバイオトイレを設け9月から運用。

◆上川町は、大雪山国立公園の国立公園指定75周年を記念し、黒岳を訪れる登山客にごみ袋を手渡してごみの持ち帰り運動を進めるほか、地場産の農産物などを販売。「大雪山クリーンアップ事業、地場産品フェア」と名付け、5合目付近で、登山客にごみ袋とともに登山ガイドを配り安全登山の周知を図る。

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