【平成24年・山岳10大ニュース】※順序不同

◆栗城氏4度目もエベレスト断念
登山家の栗城史多さん(30歳)は2012年10月18日に通算4度目のチャレンジとなるエベレスト登頂を断念。2009年から3挑戦しているものの今回も登頂とはならなかった。両手足の指と鼻の凍傷が深刻。登山家の間でも難しいとされる「西稜ルート」からの登頂を目指したが7500m付近で強風にあい登頂困難と判断して下山。

◆旭岳で外国人登山者死亡
3/19旭岳スキー場でイスラエル人女性のリアン・アブフセインさん(18)がコース脇に倒れているのをスキー客が発見。アブフセインさんは間もなく死亡。イタリア人の知人男性(21)と日帰り登山目的で入山。悪天候で下山できず雪中の穴で野営。夏用の軽登山靴を履いていた。軽食は所持していたが寝袋は持っていなかった。ここ数年はスキー客を中心に外国人観光客が増えている。

◆上ホロでベテラン登山者死亡
3/28上ホロカメットク山(1920m)で2人が遭難した事故は66歳の男性が死亡。20歳の女性は救助され命に別条がなかった。死亡状態で発見された札幌市・菅野武士さん(66)は、北海学園大山岳部時代から冬山を経験しヒマラヤ遠征を行ったこともあるベテラン。両手足に軽い凍傷を負って救助された小樽市・大学生山田桃子さん(20)は登山歴1年半。上ホロカメットク山に登頂後にホワイトアウト状態となりビバーク。ホワイトアウトが続く中、下山を試みたが菅野さんが眠たいと話したため再びビバーク、息をしなくなった。

◆山岳ガイド寺口さん道内の山辞典出版
登別市の山岳ガイド寺口一孝さん(66)が5月末道内約4600の山や峰の名称などを検索できる「北海道の山辞典カムイミンタラの山々」を自費出版。8年がかりで全道の山をほぼ網羅した労作。とても貴重な資料(北海道山岳ガイド協会)と注目。

◆積丹岳遭難死・救助隊に過失の判決
11/19積丹岳(1255m)に入山し2009年2月に遭難死した札幌市豊平区・会社員藤原隆一さん=当時(38)=の両親が道警の救助に過失があったとして道に損害賠償を求めた訴訟の判決で札幌地裁は約1200万円の支払いを道に命じた。判決は遭難者を発見したら適切に救助する義務があるとした。道は11/22、約1200万円の支払いを命じた札幌地裁判決を不服とし、札幌高裁に控訴。19日の地裁判決は「救助隊は遭難者を発見したら適切に救助する義務がある」とした上で「救助隊の過失が原因で藤原さんが死亡した」と認定。道は「遭難救助は任意の活動。警察の業務と定めた法令はない」として争っていた。ただ登山は基本的にガイドがいない場合ある程度自己責任が求められるものでありこの判決に疑問視する登山者等の声も多い。

◆市根井さんの大雪写真ミュージアムオープン
5/2層雲峡に山岳写真家・市根井孝悦さん(73)=函館市出身=の大雪山系の作品を展示する「層雲峡・大雪山写真ミュージアム」がオープン。町の運営で旧層雲峡小校舎を再活用。館内には市根井さんが50年以上にわたって撮りためた作品10万点から選ばれた約200点を展示。開館時間は午前9時~午後6時。10/31までの季節営業で期間中は無休。入館料は300円(中学生以下無料)。

◆遅い初冠雪
11/14道内最高峰・旭岳(2291m)と利尻山(1721m)で初冠雪を観測。記録的な残暑と上空の気温が高く推移した影響で旭岳は平年より19日、昨年より22日遅く、観測を始めた1888年(明治21年)以降で2番目に遅い。利尻山も平年より11日、昨年より13日遅く、観測を始めた1943年(昭和18年)以降3番目に遅い。

◆北大スキー部100年

10/8北大スキー部創立100年と同部の後継クラブである山スキー部の創立50年を記念して北大総合博物館などで企画展。同部は1912年(大正元年)9月、国内最初の大学スキー部として誕生。63年に競技班が競技スキー部、山スキー班が山スキー部となった。

◆2013年標高年の「二ペソツ」でイベント企画、二ペソツに登ろう!
ニペソツ山(2013m)が来年、西暦と標高が同じになる「標高年」を迎えるのに合わせ上士幌町観光協会は今年から来年にかけて登山道の案内板整備や記念行事などを企画。2013年、二ペソツを目指す登山者は多いとのこと。近隣の宿泊地は期待を寄せている。

◆相次ぐ遭難、相次ぐ救助要請
8/14利尻山(1721m)で登山道を見失い携帯電話で救助要請していた札幌市清田区のアルバイト南條治希さん(26)は15日登山道から約200m離れた場所で救助隊に発見。南條さんにけがはな救助隊とともに自力で下山。
8/6幌尻岳(2053m)に単独で入山して行方不明になっていた神戸市西区・医師大竹啓夫さん(62)は幌尻山荘に近い登山ルートを自力で下山中に同山荘管理人が発見し無事保護。六の沢付近。両脚に打撲を負っているが命に別条はない。
7/6浦河町の神威岳(1600m)に登山に入った東京都足立区の女性(65)が予定時刻を過ぎても下山しないと夫(66)から110番通報。道警山岳遭難救助隊などが捜索したところ、自力で下山してきた女性を発見保護。女性にけがはなかった。道に迷ったため明るくなるまで山中で待機していた。
9/12美瑛岳(2052m)に入山、携帯電話で救助を要請していた留萌市・増毛町職員山吹裕治さん(39)は捜索中の道の防災ヘリに救助。
11/19芦別岳(172m)で下山できなくなっていた男性は、20日富良野署などの捜索隊とともに自力で下山。、男性は陸上自衛隊岩見沢駐屯地勤務の自衛官(25)。天候が悪化したため、テントでビバーク。
9/1ペテガリ岳(1736m)に入山し、行方不明になっていた男性が下山コースの「ペテガリ山荘」から「神威山荘」に向かう山道をそれた沢付近で捜索中の道警山岳救助隊に発見。けがなどはなく、自力で歩ける状態。
※この他にもありましたが(-_-)気を付けましょう…

【その他、気になったニュース】

◆坂口さんの山紀行連載始まる

登山愛好家たちに人気のHPの管理者である坂口さんの新聞連載始まる。「一人歩きの北海道山紀行」と題し、北海道新聞札幌圏版で隔週金曜日連載されている。坂口さんのHP「一人歩きの北海道山紀行」でも閲覧できる。

◆山ガールのファッションショー
3/4「山ガール」のファッションショー「山コレin旭岳」が東川町旭岳温泉のホテル「ラビスタ大雪山」で開かれた。地元や札幌などから10~60代の20人出演。色柄鮮やか個性的なファッションの数々が観客を魅了。

◆アポイ山荘15周年
4/1様似町の交流促進施設「アポイ山荘」は開館15周年を迎えた。

◆知内丸山登山で地域活性力
6/2道立自然公園・矢越岬(知内町小谷石)周辺の自然を観光に活かそうと役場職員らが丸山(665m)で調査登山を行い山頂からの眺望や登山道の状況を視察。昨年、山岳ニュース管理者も委員として参画し「ニューツーリズムによるまちおこし」事業として小谷石での登山観光や空き家を利用した移住体験などを計画。今春、担当職員を新たに採用し実施に向けた準備を進めている。すっかり山ガールとなった役場担当課のN係長は「手付かずの自然を満喫してもらえる場所なので地域力を活かして頑張っていきたい」とはりきっている。

◆トムラウシ山事故のアミューズトラベル廃業
2009年にトムラウシ山で登山客8人が死亡したツアーを企画し2012年11月にも中国・万里の長城で3人が死亡する事故を起こした旅行会社アミューズトラベルが廃業する方針を決めた。2度の事故で計11人が犠牲になり事業継続するのは社会的に認められないと判断。旅行業法に基づく事業廃止届を観光庁に提出しておりツアー登山を中心とした旅行業を廃業。
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