【平成26年・山岳10大ニュース】※順序不同

◆函館の斎藤さん登山仲間懸命に捜索し毛無山で発見
3月上旬、北斗市・毛無山(750m)に出たまま行方が分からなくなった函館市の登山愛好家・斎藤浩敏さん(78)が行方不明になり、道警が一旦捜索を打ち切った後、登山仲間延べ約100人が山に入り捜索。結局4/7に付近を捜索していた道警ヘリが山中で遺体を発見し収容したが、道警が捜索を一旦打ち切った後、同じ登山愛好家仲間で函館市の坂口一弘さんが中心となり自身のブログで登山愛好家に捜索隊結成を呼び掛け(参加者半数以上が斎藤さんと面識のない人)捜索を続けた。道南の登山愛好家が、これだけ結集するのは初めてのことで多くの感動を呼んだ。

◆屎尿担ぎ下ろし長年お疲れ様でした(幌尻山荘)日高山脈ファンクラブ
11/1日高山脈・幌尻岳(2052m)の幌尻山荘のトイレの屎尿を担いで下ろす取り組みを続けてきた「日高山脈ファンクラブ」が10年目の今年を最後に終了。今後、無償奉仕に代わって山荘を所有する平取町が担う。これまで運搬は一斗缶にビニール袋を敷いて、屎尿を入れ背負って下山。昨年までの9年間で計4千㎏を運んでいる。「山のトイレを考える会」によると道内の山で屎尿を人力で山から下ろしているのは幌尻岳だけ。黒岳では2003年道がバイオトイレを設置したが処理が追いつかず屎尿を含んだおが屑を定期的に取り出しシーズン末にヘリコプターで運搬している。

◆富良野育ちの田中さん日本百名山一筆書き完全踏破(全て自力)7800㎞
11/28富良野市育ちの冒険家・田中陽希さん(31)が日本百名山を連続して登り、途中は徒歩やカヤックで自力で移動する「百名山一筆書き」を成し遂げた。旅は4/1の屋久島から10/26の利尻島の利尻山までの209日間7800㎞。徒歩やカヤックで自力移動しながら百名山を踏破した例は過去にない。田中さんは6歳の時、「北の国から」の影響で家族は富良野に引っ越し、麓郷小時代からクロスカントリースキーを始め、麓郷中、旭大高、明治大へ進み、活躍。競技のトレーニングとして登山をしていたが、現在は群馬県みなかみ町でアウトドアガイドをしながらトレッキングや自転車、カヌーなどの「アドベンチャーレース」に参加している。

◆札幌の藤川さん日本百名山33日間で踏破(最短記録達成)
10/21札幌市の山岳スキーヤー・藤川健さん(40)が、9月から10月上旬までの33日間で、日本百名山をすべて踏破。これまでの最短記録は48日間で、一気に15日間更新。藤川さんは北広島市出身で、2003年から日本テレマークスキーシリーズで5連覇、08年からは山岳スキーレース日本選手権で6連覇を果たしている。スキーのインストラクターなどを務めている。これまでの日本百名山の最速記録は、他者のサポートなしの単独では平田和文氏の66日間(2002年)。車の運転などのサポートを使っては、島津康一郎氏の48日間(2007年)という記録がある。藤川さんのチャレンジは、百名山の連続登頂が目的ではあるものの上記の記録を更新しての達成である。

◆8年越しで分水嶺350キロ踏破(日本山岳会道支部)
5/1日本山岳会道支部が北海道の東半分を南北に分断するオホーツク・太平洋分水嶺350キロの踏査を達成。4/28までの2泊3日で、最後に残していた羅臼岳(1661m)~南岳(1459m)付近の尾根約5㎞を踏査し8年越しで前例のない記録を成し遂げた。雪崩遭難で亡くなった主力メンバー4人の遺志を引き継ぎ35隊延べ168人がリレー式に繋いだ。

◆道内火山に防災協設置を要請(旭岳、倶多楽、恵山、アトサヌプリ)
10/27大規模噴火が発生した御嶽山(3067m)は微妙な変動が事前に検知されていたものの噴火の前兆と判断されず予知の難しさを改めて示した。気象庁が常時観測を行い噴火警戒レベルを設定しているのは道内5活火山のうち、雌阿寒岳と十勝岳。政府は、大雪山系旭岳、アトサヌプリ(硫黄山)、倶多楽、恵山の道内4火山を含む全国14火山について、噴火に備えた避難誘導体制づくりを国の機関や有識者と進める「防災協議会」を来年3月までに設けるよう、地元自治体に求めることを決めた。

◆ヒグマ満腹の年 クマ出没減少ドングリなどが豊作
9/23今年、ヒグマが人里に出没する頻度について例年より減少。主食となるミズナラの実(ドングリ)などが全道的に「平年並み」や「豊作」傾向となっているため。大きなトラブルや目撃情報も減少した。

◆3年ぶり登山死亡事故 ピセナイ山
10/23新ひだか町静内のピセナイ山(1027m)の沢で10/21登山中だったとみられる旭川市の木村尋和輝さん(64)が倒れているのが見つかり死亡確認。日高管内の山での死亡事故は3年ぶり。

◆大雪登山道 延べ10キロ以上荒廃広がる
大雪山国立公園内の登山道約300㎞のうち10㎞以上で土砂が流出するなどして道幅が3倍以上に広がっていることが環境省の調査で判明。

◆大雪山国立公園80周年
12/4国内最大面積の大雪山国立公園が指定から80周年。大雪山国立公園は、東川や上川、富良野など10市町にまたがり面積は約23万ha。道内最高峰の旭岳(2291m)をはじめ十勝岳、トムラウシ山など2千m前後の山々が連なる。氷河期の生き残りといわれるエゾナキウサギや貴重な高山植物などの動植物が生育し温泉や登山などを目的に年約500万人が訪れる。

【その他、気になったニュース】
◆増毛山道 新復元ルートでトレッキング
10/13増毛山道(増毛町別苅―石狩市浜益区幌)の復元ルートを歩く本年度6回目の体験トレッキングが12日行われた。今年新たに復元された雄冬山(1197m)山頂近くまでの約4キロを含む計約17キロを歩いた。

◆硫黄山で遭難後1週間ぶり保護
斜里町登山口から8/17羅臼岳へ単独入山し行方不明になっていた札幌市の会社員・難波敏次さん(42)が8/24斜里町内の林道で知床財団職員らに発見され7日ぶりに保護。難波さんは右足のかかとを骨折。羅臼岳と硫黄山を登り硫黄山からの下山時に道に迷い15時滑落。身動きがとれなくなり栄養補助食品のほか沢水を口にしながら21日まで滑落現場近くのほら穴にとどまり22日から自力で下山を試みていた。発見時、難波さんは木を伝いながら林道脇の斜面を下りようとしていた。

◆飯豊連峰の遺体は札幌の男性
7/30山形県小国町の飯豊連峰で29日に見つかった男性の遺体が入山後に行方不明になっていた札幌市豊平区の酒田登己穂さん(65)と確認。死因は脳挫傷。死亡推定時刻は入山当日の23日午後で酒田さんが入山直後にルートを外れ急斜面を滑落。

◆熱中症で登山者2人搬送
6/4伊達市で札幌からの登山ツアーで伊達紋別岳(714m)に登っていた70代の男性と女性各1人が熱中症の症状を訴え防災ヘリに救助。

◆赤いフキノトウ函館山で20個以上
4/16函館市の山崎せい子さん(67)が函館山登山道で赤いフキノトウを発見。函館山ボランティアガイドの木村さんは長い間雪の下にあり葉緑素がまだできていないためではないかと推測。函館植物研究会幹事長の宗像さんは赤くなる理由は定かではないが、まとまってあるのは珍しいケースと話している。


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