【平成27年・山岳10大ニュース】※順序不同

◆神威岳で遭難騒ぎ
 9月 神威岳(1600m)で石狩市・自営業男性(33)が道を見失い救助要請の騒ぎ。登山口の山小屋へ自力で無事に戻ったが装備が不十分な上、自分の位置を誤って伝えていたため、捜索に当たった道警山岳救助隊と陸上自衛隊は発見することができなかった。浦河署は十分な準備をせず登山するのは自殺行為と注意を呼び掛ける。
◆新冠ポロシリ山荘から募金箱が盗まれる
 8月 幌尻岳(2052m)の新冠ポロシリ山荘から募金箱が盗まれた。山荘の管理や簡易トイレの設置などは年間15万円程の募金を充てており、新冠山岳会は善意の募金が持ち去られたとしたら本当に残念と話す。同山岳会は新しいステンレス製の募金箱を設置。防犯のため南京錠をつけ鎖で壁に固定。
◆廃道の恵山・高原コース整備作業
 11月 道内の登山道の廃道化が相次ぐ中、函館市内などの登山愛好家らが廃道となっていた恵山(618m)の高原コースの整備作業を行った。同コースを来年6月から開放し観光客増につなげたい考え。
◆山のトイレを考える会が環境大臣賞受賞
 9月 日本トイレ大賞表彰式が開催され、道内の山岳愛好家でつくる「山のトイレを考える会」が内閣官房から日本トイレ大賞の環境大臣賞を受賞。
◆キロロ不明男性知人が捜査発見
 3月 赤井川村スキー場「キロロスノーワールド」のホテルから西に1.5㎞離れた林道沿いの斜面で雪に埋まった遺体があるのを雪山登山中の男性が発見。遺体は3/11横浜市青葉区の男性会社員(48)が山スキー中に行方不明となった男性。遺体を発見した男性は不明男性の知人で休日を利用し個人的に捜索を行っていた。
◆余市岳で2日ぶりに3人救助
 3月 余市岳(1488m)で山スキーに入り吹雪のため下山できなくなっていた倶知安町の男性3人は道警などに2日ぶりに救助。3人とも目立ったけがはなく命に別条はない。3人は山頂から北東に約2㎞離れた標高1300mの雪原を歩いているのを陸上自衛隊に発見され雪上車で麓まで下山。発見場所近くに雪穴があり3人がビバークのために掘った。3人は2日間ずっと雪穴の中に。発見時、食料はガムしか持っていなかった。
鷲別岳85歳の楠木さん登頂2000回
 11月 室蘭市柏木町・楠木哲雄さん(85)が8年がかりで鷲別岳(室蘭岳911m)への登頂2000回を達成。77歳から登り始めての2千回達成は珍しい。
◆エベレスト雪崩 負傷小幡さん奇跡の帰国
 4月 ネパール中部を襲った大地震で世界最高峰エベレスト(8848m)で大規模な雪崩を引き起こした。雪崩で負傷した札幌市清田区の小幡友子さん(50)が奇跡の帰国。雪崩に気付いて逃げようとしたが10歩も進まないうちに雪にのみ込まれたと生々しい体験を語っている。4/17ベースキャンプに入り、5月中旬の登頂を目指していた。
◆岩村氏道内の沢ガイド本出版
 6月 道内の山で30年以上にわたり沢登りを楽しんでいる札幌市・会社員岩村和彦氏(60)が、これまでに登った道内の179ルートを紹介するガイド本「北海道沢登りガイド」(北海道新聞社)を出版。
◆積丹岳遭難死 山岳救助に1800万円賠償命令
 3月 積丹岳(1255m)で2009年2月に遭難死した札幌市豊平区の会社員藤原さん=当時38歳=の両親が道警の救助に過失があったとして道に約8600万円損害賠償を求めた訴訟で道は道警山岳遭難救助隊の過失を認めた札幌高裁判決を不服として上告。3/26高裁判決は藤原さんを収容した救助用のソリを木に結びつけた方法が合理的ではなく救助隊員がそりから離れた間に滑落させた過失があったと認定。道側に約1200万円の支払いを命じた一審札幌地裁判決を変更し約1800万円の賠償を命じた。本遭難死はスノーボードをしようと入山して遭難。救助隊は藤原さんを発見したが両脇を抱えて歩いている際に雪庇を踏み抜き滑落。その後、救助用のソリに収容し隊員交代などのためソリを一時的にハイマツにひもで結び付けたが、ソリが滑落して藤原さんを見失った。藤原さんは翌日に発見されたが、搬送先の病院で凍死と確認。判決理由で岡本岳裁判長は「救助隊は遭難者を発見した時点で救助義務を負う」とした上で、「そりをハイマツに結び付けた方法が合理的ではなく、隊員がそりから離れた間に滑落させた過失があった」と述べた。一方、藤原さんについても「悪天候になると知りながら登山を続けた軽率な判断で遭難した」として過失を認定。損害額から8割を差し引いた一審判決を変更し7割を差し引いた。
◎道警・白井弘光監察官室長のコメント
 山岳の専門家の意見に基づいた当方の主張が認められず非常に遺憾。救助隊員は極めて過酷な気象条件の中、可能な限りの救助活動を行ったと確信している。
◎登山家の竹内洋岳氏・道側証人コメント
 救助で最善の努力をする必要はあるが、登山者の自己責任が大前提と証言

【その他、気になったニュース】
◆黒岳で女性登山家滑落死
12/21黒岳で女性登山家の谷口けいさん(43)が北西ルートで滑落死。22日朝、発見。谷口けいさんは21日午後、仲間の5人で黒岳を登っていた際に山頂付近で行方が分からなくなった。メンバーから見えないところで女性の用足しに出たところで、黒岳沢に滑落してしまった状況(一緒に登山をしていた佐々木大輔さん)谷口さんは、優秀な登山家に贈られる「ピオレ・ドール」賞を女性で初めて受賞するなど世界的に知られた登山家。

◆ピパイロ岳で低体温症

 8月 ピパイロ岳(1916m)で低体温症とみられる症状で動けなくなった男女は道警ヘリに救助され、命に別条はなかった。山の気温が下がる中、帯広署などは夜通しの救助活動に追われた。
◆5度目の単独・無酸素エベレスト登頂断念
 
9月 自身5度目となる秋季・エベレスト(8848m)登頂に単独・無酸素で挑戦していた今金町出身の登山家・栗城史多氏(33)が下山を決断。大地震後、ネパール側からの日本人のエベレスト挑戦は初めてだった。
◆ヒグマ生息1万600頭 23年で1.8倍
 ヒグマの推定生息数が2012年度全道で1万600頭となった。1990年度から23年間の頭数を、6地域に分けて年度ごとに示した。全道では90年度が5800頭で、約1・8倍増。地域別は「道東・宗谷」4200頭、「日高山系」2800頭、「渡島半島」1400頭、「天塩・増毛」千頭、「積丹・恵庭」800頭、「夕張山地」500頭の順。
◆トムラウシ温泉東大雪荘改修し源泉掛け流しに
 改修工事で9月から休業していた「トムラウシ温泉国民宿舎東大雪荘」が12月1日に営業再開。源泉掛け流しに変更し、トムラウシ山登山者など利用客を掘り起こす。リニューアルオープン後の宿泊予約数は過去最高に。
◆7/17知床が世界自然遺産登録10年
「知床」を未来に引き継ごうと現地で記念事業が相次ぐ。知床自然センター前では餌付けがクマに及ぼす悪影響をこの機会に知ってもらおうと知床ヒグマえさやり禁止キャンペーン啓発活動を実施。
◆札幌市東区モエレ沼公園がグランドオープンから10周年

本公園は世界的な彫刻家イサム・ノグチが基本設計。年間80万人が訪れる市民の憩いの場として定着。モエレ沼公園は、もともと札幌市のごみ埋め立て処分場だった場所に造成。標高62mの人工の山「モエレ山」などがある。
◆十勝岳にシェルター建設へ
来年9月までに十勝岳麓に観光客らの避難施設「シェルターの望岳台(930m)を建設。シェルターの整備は道内の自治体として初。施設は鉄筋コンクリート製の平屋造りで、避難者100人の収容が可能。トイレを備え、飲料水や非常食なども常備。
◆各地域で遭難相次ぐ
 2月 芽室岳(1754m)で遭難し3日ぶりに救助された帯広市の道職員女性(53)が所属する山岳会でビバークや雪洞を掘る訓練をしてきたことが役立ったと振り返る。
  5月 山スキーで漁岳(1318m)に登山した札幌市の無職男性(88)が下山中に遭難。「けがをして動けない」と妻から連絡を受けた道警などが捜索し同日夕、漁岳の林道で右足を骨折した男性を発見。
 8月 八雲町熊石地区の屏風岳(938m)に入山中の函館市美原の男性(67)から「登山道をそれて遭難した」と妻を通じて110番通報。翌日無事救助。
 

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