【平成29年・山岳10ニュース】 順序不同

◆坂口さんエッセー集「ほっかいどう山楽紀行」自費出版

 4月函館市在住の登山愛好家・坂口一弘さん(73)が、道内の山々の魅力を紹介する北海道新聞の連載をまとめたエッセー集「ほっかいどう山楽紀行」を自費出版。坂口さんは道内約650山、日本300名山を踏破しているが、北海道新聞札幌圏版で2012年6月から今年2月まで115編を執筆。エッセー集は計139山を紹介。1944円。道内の主要書店で販売。電子メールsakag888@gmail.comでも注文できる。登山をする人、しない人も楽しめる一冊だ。

◆幌尻岳登山で3人溺死

 8/29幌尻岳で、登山グループの3人が川で流され死亡。死因はいずれも溺死。3人は日本山岳会広島支部所属。同支部の60~70代の男女計8人で下山中、雨で増水した額平川を渡ろうとして、3人が足を取られて溺れた。両岸の木にロープを張って体を金具でロープにつなぎ川を渡っている途中。この日は増水で約1mと深くなっていた。

◆旭岳遭難 4人入院

 10/19旭岳で遭難し、約30時間後に救助隊に発見されて山中で保温措置を受けていた男女4人はヘリによって現場から救出され旭川市内の旭川医大病院に入院。4人は横浜市神奈川区の男女、マレーシア人の2人。4人は登山中に出会い、一緒に行動していた。10/17吹雪に遭い、7合目付近で誤って登山道の南側斜面を下り携帯で110番。総勢約70人で捜した結果、二見川付近の沢で雪面の足跡を見つけ、近くでヘッドライトを点灯していた4人を発見。4人は救助隊員7人と共に山中で夜を明かし、日の出を待って救出された。4人の服装や靴は冬山用ではなかった。レインウエアだけで防寒着を持っておらず、靴は運動用スニーカーの方もいた。

◆知床岳や十勝岳で低体温の男性死亡

 6/12知床岳の山岳ツアーに参加し、登山中に伊達市の男性が低体温で死亡が確認。40~60代の男女7人と男性ガイド2人とともに10日から2泊3日の日程で羅臼町から入山。6/11に寒さを訴え、自力歩行が困難になり、同行した40代男性ガイドが110番で救助を要請していた。

 6/11十勝岳頂上付近で倒れていたところを発見。低体温で死亡が確認。東京都江戸川区の男性。1人で入山。

◆小幡さん大けが克服しエベレスト登頂

 5/22札幌市の小幡友子さん(52)が、エベレストの登頂に成功。2年前の初挑戦では、ネパール大地震による雪崩に巻き込まれ、両脚を骨折した。大けがを乗り越え、登山歴11年で世界最高峰の頂に立った。道内の女性では小幡さんが4人目。小幡さんは会社員だった2006年、41歳で登山を始めた。09年に積丹半島でクライミング中に滑落し、肋骨8本や骨盤などを折ったが、退院後は再び山に向かった。

◆手稲山愛した伊野さん登頂500回目前に死去

 7/9手稲山で遺体で見つかった男性は北広島市の伊野昌司さん(88)は5/23に入山し、登山道で知人に目撃されたのを最後に連絡が取れなくなっていた。所属する登山サークルによると、伊野さんは40年ほど前から手稲山の登山を重ね、同日が499回目だった。登頂500回を目前にした出来事。登山道から外れた沢の近くで発見された。

◆黒岳遭難 3外国人救助

 12/7黒岳でタイ国籍3人が遭難。12/8黒岳5合目のリフト乗り場から数百m西側の黒岳沢で3人を発見。滑落した男性は右手などに凍傷、他2人も手の指や耳など軽い凍傷。男性11人、女性4人の登山グループで、黒岳から下山中の12/7夕、男性1人が滑落。男性2人が救助作業にあたり、他の12人は先に下山。登山グループは、タイから南極探検に挑戦する人を1年がかりで選考する民間プロジェクトの参加希望者。メンバー選抜試験の一環で12/3に旭岳温泉入りし、旭岳、中岳、北鎮岳と縦走して黒岳から下山する途中。

◆斜面に遺体 不明男性か

 5/19ソエマツ岳から神威岳にかけての斜面で、雪に埋もれていた男性の遺体を発見。3月末に登山に出かけたまま行方不明になっていた札幌市の会社役員。3/25、1人で日高山脈の楽古岳から芽室岳までを縦走するため入山。下山予定の4/15を過ぎても帰らず、道警が捜索を続けていた。

◆旭岳に遺体相次ぐ

 6/18旭岳9合目付近で、人の頭蓋骨と足の骨を発見。昨年10月に単独で登山中に行方不明になった仙台市職員。骨は登山道から約100mの雪渓などで見つかり、付近にデジタルカメラや登山靴などがあった。見つけたのは、捜していた登山仲間だった。 

 6/15旭岳で遺体が発見。姿見駅から約2キロ離れた登山道付近。上下黒色のジャージー姿で、うつぶせで倒れていた。身元不明。

◆天狗岳で滑落し溺死

 6/24定山渓天狗岳の山頂から約1・5キロ手前の岩場で札幌市北消防署員が登山中、約50m下の沢に滑落。約3時間後、ヘリに救助されたが、搬送先で死亡が確認。死因は溺死。知人3人と入山し、当時は登山道を外れた岩場の上を登っていた。足を滑らせて転落し、沢の中で動けなくなった。

【その他、気になったニュース】

◆さっぽろ文庫に掲載の札幌50山人気

 札幌近郊の「札幌50山(50峰)」が登山愛好者の間で認知度が高まる。札幌50山は、各地の山岳会員らが執筆し、1989年に札幌市が刊行したさっぽろ文庫48巻「札幌の山々」に掲載。出版から四半世紀以上が過ぎて愛好家らに徐々に浸透し、全山登頂を目指す人も増えた。札幌の社会人山岳会「ハイキングクラブみどりの風」は結成30年記念行事として、2011年に全山登頂を果たした。難易度にばらつきがあり、半数近くは登山道(夏道)がない。

◆松前・大千軒岳の登山道「新道コース」復旧のめどたたず

 大千軒岳登山口に続く町内の林道が、昨年8月末に道内を襲った台風10号による被害で通行止めとなり、登山初心者に人気の通称「新道コース」にアクセスできない状況が続く。

◆陽希コース幌尻岳で記念碑除幕式

 7/8幌尻岳の新冠町からの登山ルート「新冠コース」(23km)が「幌尻岳新冠陽希コース」と命名され登山口でモニュメントの除幕式。由来となった富良野市育ちの冒険家・田中陽希さん(34)をはじめ、主催した新冠ポロシリ山岳会の会員ら約20人が参加し無事故などを祈願。

◆旭岳周辺マップ 本場スイス風に

 スイスの地図製作技法により、大雪山系旭岳周辺の地図が完成。スイスの地図製作会社オーレル・フュズリ社のマルクス・ハウザー社長が、2年以上をかけて仕上げた。国土地理院の承諾を得て、2万5千分1地形図を基に製作した。地名は漢字と英語が併記された。裏面には、大雪山系の動植物、地質など、20人余りの専門家による解説や、環境省による登山道の難易区分も記載された。国外販売分も含めて5千部を作り、国内では、札幌の亜璃西社が販売。1944円。道内の主要書店や登山用品店、ネット通販などで購入できる。

◆道内の山々の名前を調べた辞典「カムイミンタラの山々」北海道全山最終章

 1/15道認定の野外活動専門家「北海道マスターガイド」で、山岳ガイドの寺口一孝さんが道内の山々の名前を調べ、改訂を重ねてきた辞典「カムイミンタラの山々 北海道全山最終章」を自費出版。掲載件数は約1万3400。寺口さんは「道内に山はいくつあるのだろう」と疑問を持ち、2004年から調べ始めた。07年に初版本を出版。最終章は4回目の出版。12年に出版した3回目は約4600の収録で、国土地理院の地形図にある山名だけでなく、登山仲間に知られている山名を含め大幅に掲載数を増やした。519ページ。80部作製。一部5千円で販売。

◆道内初大雪山生態系保護地域巡視員制度スタート

 6/8大雪山国立公園と重なる生態系保護地域で、入山者に対する自然保護の啓発や指導に当たるボランティア巡視員制度が始まった。林野庁の上川中部森林管理署による道内初の制度。巡視員35人が同署から委嘱を受け、登山や山岳ガイドの際に巡視活動の役目を担う。

◆17回目の山のトイレデー

 2017年の山のトイレデーが今年で17回目に。2001年から毎年9月上旬に実施。実施は28箇所。延べ参加者は73名。トイレマップ136部、マナーガイド306部、マナーカード33枚、マナー袋376袋が配布された。

◆恵庭岳で男性死亡

 10/1恵庭岳8合目付近で、男性1人が登山道で心肺停止状態で倒れているのを発見、道警山岳救助隊と共に下山後、死亡が確認。男性は50代。

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