【平成15年・山岳10大ニュース】

@道内山岳初のバイオトイレ完成

黒岳山頂近くに建設していた、道内山岳初の常設「バイオトイレ」が完成。微生物がし尿を分解し、太陽光や風力発電も利用する環境配慮型のトイレ。設置場所は山頂南西の石室横。男女共用の4室があり、外装はカラマツを用いたログハウス風。おがくずを温め微生物を活性化させ、し尿を分解。屋根に熱源用太陽光発電パネル、夜間用に風力発電装置も設置。総工費約4700万円。

A無謀な登山やめて
道内最高峰の旭岳−愛山渓温泉のルートで9月26日、東京から来た70代夫婦が遭難寸前に救助。夫婦は軽装で食料ほとんどなし。救助関係者は無謀な登山にあきれ顔。25日朝、旭岳ロープウェイで入山→姿見駅から裾合平を経由→愛山渓温泉に下山予定。途中で夫が転倒、ろっ骨を折り、愛山渓温泉手前で動けなくなり、山中で夜を明かす。26日早朝、妻が愛山渓温泉に救助要請。夫も無事救出。この夫婦は薄手の上着にスニーカー姿、防寒具や地図、テントは持っておらず、食料もおにぎりや菓子数個だけ。

Bアポイ岳と幌満岳を生息地等保護地区に初指定
絶滅危機種の「ヒダカソウ」が生育するアポイ岳と幌満岳の頂上周辺を「道希少野生動植物の保護に関する条例」に基づく「生息地等保護地区」に指定。開発などを制限する方針を固めた。指定は両岳が初めて。

C黒岳ロープウェイ利用客、2000万人に
層雲峡・黒岳ロープウェイの利用客が9月24日、1967年の営業開始から2000万人に達した。黒岳の山ろくと5合目の間の全長1650mを7分間で登る。2000万人目の乗客は士幌町の後藤信子さん。

D登りごたえのある山を選別「新版北海道百名山」出版
札幌市在住の植物写真家梅沢俊さんと岩見沢市在住の写真家伊藤健次さんが共同で「新版北海道百名山」(山と渓谷社発行)を出版。「旧版北海道百名山」は1993年に発行している。今回は登りごたえのある山を選択している。

Eニペソツ山でガイドいるのに遭難死
8月5日、ニペソツ山で石狩市の河井京子さんが標高約1800m付近の登山道から1キロほど離れた沢の中に遺体で発見。札幌市のアウトドアショップ「遊山」のガイド1人と客の計7人。前天狗付近はハイマツが背丈ほどの高さまであり迷いやすい場所。

F台風10号被害で幌尻山荘の29人救出
台風10号の被害が集中し、登山道の崩落などで下山できず、日高山脈の最高峰・幌尻岳の中腹にある幌尻山荘で救助を求めている29人をヘリで救助。道外からのツアー登山に参加した中高年中心の登山者。大阪市の旅行会社・毎日新聞旅行の「毎日登山の会」のツアー客18人と添乗員2人、一般の登山者8人、幌尻山荘の管理人1人の計29人。ツアー客は60代が中心。

G中高年男性2人、登山中に心筋梗塞で死亡
旭岳で8月8日、中高年男性2人が登山中に心筋梗塞で倒れ死亡。青森県の無職男性(73)と、旭川市内の無職男性(62)。7合目の登山道で倒れているのを他の登山者に発見された。青森の男性は登山は年に1、2回程度とのこと。

H三浦雄一郎さん、世界最高齢登頂記録を更新
プロスキーヤー三浦雄一郎さん(70)=札幌市在住=の登山隊が、5月22日、世界最高峰エベレスト(8850m)登頂に成功。65歳で昨年登頂した愛知県の石川富康さんが持つ世界最高齢登頂記録を更新。二男で元冬季五輪代表の豪太さん(33)なども一緒に登頂。三浦父子は日本人初の親子同時登頂。

Iペテカリ山荘までの林道が8年ぶりに通行可能に
災害復旧工事等で長期間通行止めとなっていた道道静内中札内線(日高横断道路)のペテカリ山荘へ通じる林道が5月15日開通し、冬期間を除き一般車両が通行可能に。1995年以来8年ぶり。

おまけ
利用者の減少で札幌の手稲山ロープウェイが30年間の歴史に幕を下ろす。最終日は、スキー客と名残を惜しむ見物客など1000人が利用。テイネハイランドスキー場の標高1000mの山頂へ冬はスキー客、夏は観光客や登山客を運び、利用者は累計で500万人を超えた。利用者は90年度の22万人をピークに減少し、本年度は9万人。

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