【平成23年・山岳10大ニュース】※順序不同

◆栗城氏3度目もエベレスト断念
10月 単独無酸素での世界7大陸最高峰制覇を目指し残る世界最高峰エベレスト(8848m)に挑んでいた登山家栗城さん(29)今金町出身が登頂を断念。栗城氏は7800m地点に到着したが事前に地中に埋めていた食料などがカラスに食い荒らされており山頂を目指すと危険と判断。栗城氏は2004年の北米マッキンリー(6194m)を皮切りに、07年の南極ビンソンマシフ(4897m)まで6大陸の最高峰に登った。しかし、エベレストは09年、昨年に続く3度目の挑戦も失敗。

◆アンヌプリで山スキー者遭難死

1月 ニセコアンヌプリ(1308m)の山頂から西側約500mの斜面で札幌市の飲食店経営・西山さん(43)が雪に埋まって死亡。山スキーをするため知人女性とニセコ町の五色温泉の登山口から入山。吹雪に遭い下山途中、行方が分からなくなった。スキー板が外れて落ちていることなどから滑落して遭難死。

◆道内背骨稜線踏破670キロ

5月 えりも町の襟裳岬から稚内市の宗谷岬まで大雪山系の尾根沿いなどを歩いて約670キロを踏破。踏破したのは札幌市の岩下さん(65)。道内の背骨に当たる稜線を30年以上かけて歩き続けた。1977年ごろ、カムイエクウチカウシ山(1980m)周辺を縦走したことがきっかけ。

◆幌尻岳で水死
7月 日高山系幌尻岳(2053m)の中腹の川で死亡。堺市の無職・宮里さん(66)。死因は水死。幌尻岳のふもとの山荘で1泊し、単独で登山を始めた。宮里さんが川を横切っている最中に何らかの原因で足を滑らせた可能性。

◆都心部中心にクマ出没相次ぐ

札幌や千歳、恵庭の住宅地などでクマの目撃情報が相次ぐ。ドングリなど山の実の不作が影響か。ヒグマの生息数の増加と奥山の荒廃により、ヒグマの生息域が人間の居住地に接近したことが出没が相次いでいる要因だと推測。道内では1989年度まで春グマ駆除が行われていたが90年度から中止。これがヒグマの生息数増加につながっている可能性がある。

◆恵庭岳遭難依然として行方不明
9月 札幌市の無職・土師さん(70)が恵庭岳(1320m)に登山に入ったままいまだ帰宅していない。土師さんは登山中に遭難したとみている。

◆阿寒岳で登山口勘違い行方不明

8月 雌阿寒岳で遭難した新潟県の男性(56)は連絡が取れなくなってから丸1日たって無事救助。「阿寒湖登山口」から入山したにもかかわらず、野中温泉登山口から登り始めたと勘違いしたまま歩き続けたうえ、下山の際に濃霧で道に迷う。入山してから約52時間後、登山道から外れた山頂付近の沢で道警のヘリコプターに発見。

◆駒ケ岳入山解禁効果で登山者増

駒ケ岳(1131m)の入山が解禁された6月からの登山者数は前年比21・7%増の9607人。今年は平日の登山も可能になったことなどから登山者が大きく伸び、大沼の観光振興にも弾みをつけた。駒ケ岳は昨年、火山活動が沈静化したことから12年ぶりに入山規制が一部解禁された。今年は土、日曜などに限らず毎日入山できるようにしたほか、森町側の赤井川登山道に加えて七飯町大沼側の銚子口登山道も利用できるようにするなど規制をより緩和。

◆築60年白井山小屋全焼

11月 余市岳(1488m)山麓の札幌市南区にある札幌医大の山小屋「白井小屋」(宿泊定員25人)が全焼。白井小屋は1951年に建設され築60年。登山口ゲートから約4キロ、白井川沿いの標高575mの林にある。

雪山ガイドが一新

11/18山スキー、スノーシュー利用の冬山登山ルートを紹介した「北海道雪山ガイド」(北海道の山メーリングリスト編)が一新、増補新版として北海道新聞社から発行。コース編では積丹岳など積丹半島、雷電山などニセコ周辺、布部岳など夕張山地、カスベ岳、メップ岳、砂蘭部岳など道南の山中心に新たに22ルートが加わり、全部で84ルートを紹介。技術編ではGPSの記述などが一新された。76P増えて計396Pに。北海道の山メーリングリスト(約600人)のメンバーが取材、執筆。B6判2310円。

【その他、気になったニュース】

◆中山峠で氷筍
2月 氷の造形「氷筍」が、北斗−厚沢部間の国道227号中山峠にある旧中山トンネル(全長115m)内で発見。函館山の会会員の逸見さん(69)が冬山登山の最中に見つけた。道南で氷筍が見られるのは非常に珍しい

◆東川町にモンベル
モンベルが2012年春、東川町内に出店する方針を固めた。道の駅「道草館」隣接地に町が建設予定の施設に入る計画。

◆旧小学校改装した山荘人気
閉校した平取町旧豊糠小中学校を再活用して昨年オープンした幌尻岳登山者向け宿泊施設「とよぬか山荘」がリニューアル。定員がこれまでの22人から46人と2倍以上に。数人で入れる男女別の風呂や食堂なども新しく整備され利便性が高まった。

◆登山ツアー客8割60歳以上
大雪山系の登山者を対象に昨年行った実態調査の結果を公表。ツアー客では60歳以上が8割と中高齢者の割合が高く、また装備面などで危機管理の意識が低い傾向が浮き彫りに。

◆アポイビジターセンター改修へ
様似町は2013年春のオープンを目指しアポイ岳のふもとにある「アポイ岳ビジターセンター」を全面改修。展示内容を町内の地質や動植物、歴史などに大幅に拡充し、様似の観光や教育の中核施設とする考え。

◆熊ケ岳でけが救助
7月 大雪山系熊ケ岳(2210m)付近で群馬県高崎市の男性会社員(24)がけがで歩けなくなり警察などに救助。

◆知内小谷石地区活性化への登山プラン
11月 北大教授らの助言を受けて観光活性化策を議論してきた知内町内の観光関係者によるワーキンググループが最終報告。高齢化が進む沿岸の小谷石地区に登山客を呼び込むなど新たな視点の観光プランが示された。WGは8月、道市町村振興協会の呼びかけで町や観光協会の職員ら約40人で設立。北大観光学高等研究センターの臼井教授やコンサルタントによる経営戦略の助言を受け長時間の議論を4回重ねた。最終日は2つのWGが企画案を発表。産業振興課の野戸早苗係長らの班は近年増えている登山愛好者を小谷石地区の山に呼び込むプランを考案。野戸係長は「津軽海峡を眼下に眺める景観や未開拓の山の自然を生かして活性化を図りたい」と力を込めた。研究会員として山岳ニュースの管理者も参加している。

◆大雪ミュージアム来春開館
2010年3月で廃校となった旧層雲峡小学校の校舎を活用し上川町は2012年春、「層雲峡・大雪山写真ミュージアム」を開館。山岳写真家、市根井孝悦さんの作品約200点を展示する予定。
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