【平成30年・山岳10ニュース】順序不同

◆外国人バックカントリー遭難急増

2/6キロロ長峰岳1079mでスノーボードをしていたオーストラリアの男女2人が遭難。道警救助で無事下山。2/8富良野市のスキー場からコース外に出たフランス人6人が一時不明。1/30札幌国際スキー場から管理区域外に出たイタリア人の男女5人が一時遭難。今季のバックカントリースキーによる外国人遭難者は過去最多。

◆山のトイレデーファイナル

2001年から毎年実施してきた山のトイレデーが「大雪山国立公園携帯トイレ普及宣言」を契機に今年で清掃登山トイレデーの活動を最終とさせた。2018トイレデーは9/2に実施し18回目。道内の15箇所の登山口で、山のトイレマナー袋やトイレマップを配布、ティッシュやゴミを拾う清掃登山を行った。延べ参加者は46名。トイレマップ307部、マナーガイド194部、マナーカード418枚、マナー袋407袋を配布。これに先立ち7/10大雪山国立公園連絡協議会と道内の山岳会など18団体は、「大雪山国立公園携帯トイレ普及宣言」を行い、官民が連携し登山者に携帯トイレの持参をPRするとともに、携帯トイレで用を足すためのブースなどの整備を進めることとしている。山のトイレデーは入山者に携帯トイレを持参してもらい、屋内外を問わず使用後の紙は持ち帰るなどを徹底して、山のトイレを長持ちさせようという運動で、2001年9月から続けていた。これまでの長きにわたる関係各位の活動に感謝。

◆登山家・栗城さんエベレストで遭難死

5/21世界最高峰エベレストの登頂を目指していた登山家の栗城史多さん(35)=今金町出身=が遺体で発見。登頂をいったん断念し、下山する途中で遭難、死亡した。栗城さんは2004年の北米デナリを皮切りに6大陸の最高峰を制覇。09年から最後に残ったエベレスト登頂に挑戦したが、いずれも失敗。12年の挑戦では、凍傷で手の指9本の大部分を失った。

◆自殺目的登山で男性のみ死亡

9/4旭岳2291mで行方不明の道外20代の男性が死亡。男性は携帯電話を所持していなかったが、入山した9/2以降は目立った積雪がなかったため、道警山岳救助隊の発見につながる。仰向けの状態で薄手の黒いウインドブレーカーの上下にスニーカー姿。食料ほとんどない。首などに獣にかまれたような痕。9/2男性と一緒に入山し、9/3単独で下山した岩手県の10代女性の証言を頼りに、9/3ら姿見駅周辺を中心に捜索。9/4はさらに捜索範囲を広げて発見。2人は自殺目的で旭岳に入山した。

◆道内各名山で遭難(死亡)相次ぐ

2/28風不死1102mで恵庭市の会社員・石井さん(42)が遭難。石井さんの軽乗用車は風不死岳登山口駐車場で見つかったまま。・・・ 1/11前目国内岳980mで1/10遭難したとみられていたニセコ町の男性会社員(29)が1/11未明に自力で下山。吹雪のため道迷い。・・・ 8/9幌尻岳2052mで栃木県の70代男性が遭難。・・・ 8/17十勝岳2077mの鉢火口付近で、男性が倒れているのを道警山岳遭難救助隊などが発見、その場で死亡が確認。低体温症。・・・ 9/18緑岳2019mの山頂付近で男性(67)が心肺停止状態で発見。死亡。男性は夏山の服装。低体温症。・・・ 9/2日高ヌカビラ岳1808mで、室蘭市の女性会社員(50)が脱水症状に伴う体調不良を訴え、道警ヘリが女性を救助。登別山岳会の11人パーティーで入山。・・・ 1/27白雲山1186mの山頂付近で北見市の医師富田さん(63)が心肺停止状態で倒れていたのを道警山岳救助隊などが発見、病院に搬送したが死亡が確認。富田さんは雪山散策に出掛けたまま行方不明になっていた。・・・ 10/21八剣山498mの山頂で、女性が滑落。札幌市消防局のヘリに救助されたが、全身を強く打って死亡。女性が1人で登山中にバランスを崩し、滑落した。・・・3/19羊蹄山1898mの6合目付近でスノーシュー下山中の登別市の会社員竹花さん(57)が雪崩に巻き込まれて負傷。死因は低体温症。

◆幌尻岳で相次ぐヘリ救助

7/24-25幌尻岳2052mで単独で登山中の男性2人が相次いで遭難。いずれもヘリコプターで救出された。今後、安易なヘリ救助要請などヘリ費用請求の議論も検討。

◆知床の秘境で波にさらわれ不明

8/18知床半島先端部を目指して海岸をトレッキングしていた横浜市の大学生(21)が高波にさらわれて行方不明。学生は、友人(22)と知床岬を目指して相泊を出発。トッカリ瀬と呼ばれる岩場で足を滑らせ海に転落。救助しようとした友人も波にさらわれたが、助かった。10/17羅臼町海岸町の海岸沿いの岩場で、行方不明になった横浜市の大学生河野さんの遺体を発見。

◆消防職員2人、滑落し骨折

4/5イワオヌプリ1116m東斜面で札幌市豊平区内の男性(23)と同市手稲区内の男性(24)が滑落し、骨盤の骨などを折った。2人はともに札幌市消防局職員。山頂からスノーボードなどで下山したが強風にあおられ転倒し、約100メートル下に滑落。2人はバックカントリースキー中で、入山届けは確認されていない。

◆トレイルラン!手稲山で初開催

6/23手稲山(1023m)を走る初の大会「SAPPORO★テイネトレイル2018」がハイランドスキーセンター発着のコースで開かれた。本格的なトレイルラン大会は札幌では初めて。コースは32㎞(制限時間7時間)と16㎞(同5時間)の2種類。スキー場や山道などの未舗装路を走る。32㎞コースは西区西野の山麓まで下り、平和の滝の登山口から再び駆け上がる。両コース合計で道内外の432人が挑んだ。

◆愛山渓の滑落で山地救急救助休止

6/23愛山渓村雨の滝近くの1640mの山中で女性が登山道から約100m下の崖に滑落。道警ヘリで約7時間後に救助されたが全身を強く打ち死亡。また救助にあたった旭川市消防本部の男性消防隊員(32)が現場で滑落し、意識不明の重体なった。この事故で、同本部は、山地救急救助業務を当面休止することを決めた。 

【その他、気になったニュース】

◆登山愛好家・坂口さんの2つの講演会

10/5「無名山塾」を主宰する登山インストラクター、岩崎元郎さんと登山愛好家・坂口さんが「健康登山講座~歩いて健康、登って元気!」テーマに北海道の山の魅力について対談。また5/26坂口さんによる講演会「一人歩きの四国遍路~挑戦と感謝・心の旅~」が開かれた。

◆ヒグマ利尻島に!106年ぶり上陸

5/30ヒグマが生息していないとされる利尻島の利尻富士町で見つかった。106年ぶりの上陸。利尻島と対岸の稚内市は約20キロ離れている。ヒグマは泳ぎが上手で20キロを泳ぐことは可能だが、通常は考えられない。よっぽど好奇心が強いか、臭いに敏感で、島から魚などを干したにおいを感じて泳いだ可能性が考えられると専門家は分析。

◆雨竜沼湿原でシカ食害深刻

雨竜沼湿原で、エゾカンゾウなどの花がエゾシカに食い荒らされていることが初めて行った調査で分かった。シカに食べられた食害率は7割以上。ラムサール条約に登録されている湿原の多様な生態系に影響を及ぼすことが懸念され、本格調査と対策の検討を始める。エゾシカはいないとされていたが、雨竜沼湿原を愛する会がヒグマ対策用に設置した自動カメラに初めてシカの姿が捉えられた。

◆美瑛「白金ビルケ」道の駅正式登録

4/25国土交通省は道内122番目の道の駅として、美瑛町の「びえい白金ビルケ」を登録。サイクリングや登山の拠点施設となるほか、アウトドアショップ、地元産牛肉や小麦を使った料理などが味わえるレストランもある。

◆大雪山の父・小泉秀雄の資料が東川町文化財

東川町は、大雪山系の大半の山を命名し、「大雪山の父」と呼ばれる植物学者の小泉秀雄(1885~1945年)関連を含む所蔵資料など1217件を新たに町文化財に指定。小泉の資料は旭川に住んでいた時の著書や山岳スケッチなど131件の資料を常設展示。

 

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