【令和2年・山岳10ニュース】順序不同

◆新型コロナで山開きやスキー大会、山岳関係のイベント等が中止

 今年、新型コロナウイルスの影響で道内各地のアウトドアに関する殆どの行事が中止となった。各地での山開き登山会は中止となり安全祈願のみが行われた。クロスカントリースキー大会では札幌国際スキーマラソンなどが中止に、山岳団体関係でも山のトイレを考える会のフォラームなどが中止となった。また、日本山岳会などは新型コロナ感染拡大を受けて登山自粛を求める共同声明を4月に登山愛好家らに発出した。大雪山の避難小屋「黒岳石室」は、新型コロナの影響で管理人を常駐させず無人で運営した。 新型コロナ緊急事態宣言が5月下旬に解除されてからは、「三密」を避けるなど感染防止策(間隔、マスク、消毒等)を取りながら各種イベントはある程度再開された。密避け行楽として、各地のキャンプ場は盛況で、利用制限を行うところもあった。

◆恵山で下山中に高1不明・依然として手がかりなし

 5/15函館市の恵山登山道で同市の高校1年佐藤さん(15)が下山中に行方不明。姉2人と火口原駐車場から入山。約1時間半後に頂上に着いた後、1人で下山。その後、姉2人は待ち合わせの駐車場に到着したが、佐藤さんの姿はない。翌日から、延べ約100人態勢で捜索したが発見できず。佐藤さんは身長175㎝の痩せ形で、黒の上着とズボン、白のスニーカーを着用。携帯電話は持っていない。 さらに、6/7地元の登山愛好家でつくる「新日本百名山・恵山を登る会」(坂口代表)が有志による捜索を行った。当日はチーム他力本願のメンバーを含め約40人が参加し、山頂東側の樹林帯を捜索したが発見できず。これまでに延べ約630人を動員し捜索にあたってきたが、遺留物などの手掛かりは得られていない。「どんな小さな情報でも寄せてほしい」と呼び掛けている。情報提供は℡0138-54-0110へ。

◆白水岳登山道の復活目指し奮闘

 道南の山々を中心に活動し、ヤマレコ等では知名度上昇中の「チーム他力本願」のメンバーらが、道南アルプス山塊の一つ、白水岳(1136m)に登りたい一心で登山道の復活を目指し約3年間(延べ15回)にわたり整備。7/12、地元登山愛好家らとともに汗と涙の結晶による努力で完成した。今後、八雲町熊石地区の登山愛好家らで白泉岳までは整備を続けるようだが、登山道の維持管理には利用する登山者らがササなどの刈り払いするなど登山者の協力は欠かせない。

◆沼ノ原への登山口クチャンベツ4年振りに開通

 2016年に豪雨災害で林道崩壊により通行止めになっていた沼ノ原への登山口クチャンベツが、4年ぶりに開通。層雲峡本流林道のゲートも開放。道内でも指折りの走りやすい林道に復活。シーズンの週末、登山口駐車場は常に満車状態となった。

松仙園線14年ぶり復活

 大雪山の登山道「松仙園線」が14年ぶりに復活。2006年から通行止めが続いていたが、環境省が約5千万円かけて再整備。愛山渓温泉から既存の登山道に入り、旭岳が望める標高約1300mの松仙園を通って同約1400mの沼の平を東に抜ける約4.5㎞のルート。登山道は湿原植物保護のため登りの一方通行。既存の登山道より急な登りが多く、約2㎞長い。

白雲岳避難小屋完成

 白雲岳の避難小屋の建て替えが完了。小屋には周辺の危険箇所や気象情報などを知らせる掲示板が新設。来年の夏山シーズンまで管理人は常駐しないが、不在期間も避難所として利用可能。旧避難小屋の解体跡地に建てられ収容人数は旧施設と同規模の約60人。夏山シーズンに管理人が常駐。旧施設は1976年に道が建設し、老朽化が進んでいたため、財政難の道に代わり環境省が建て替えた。事業費は約1億7千万円。

◆中頓別敏音知岳、トマムで雪崩・外国人死亡

 2/1中頓別町の敏音知岳(ピンネシリ岳)南側斜面で雪崩が発生、山スキーをしていた英国人のレビーさん(34)が巻き込まれ死亡。古い雪の層の上に積もった新雪が滑り落ちる表層雪崩による。日本人ガイドが同行していた。 また、1/31トマムスキー場の管理区域外で、フランス人の男性スキー客1人が雪崩に巻き込まれ死亡。男性は友人7人とトマム山に入り、登山計画書を出していないにもかかわらず管理区域外に出た。山頂から500m下の雪洞で発見。雪崩発生時、8人は縦一列に滑り、死亡した男性は前から5番目。斜度は32度で比較的急な斜面。表層雪崩による。

◆羊蹄山で雪崩・消防職員死亡

 2/11喜茂別側・羊蹄山の約1150m地点で、札幌市消防局職員・柴田さん(34)が死亡。柴田さんはスノーボードの板を身に着けた状態。スノーボートで滑走中に雪崩に巻き込まれた。

八剣山で滑落死

 7/5札幌市の八剣山(観音岩山)で同市の岸本さん(79)が下山中、約30m下の斜面に滑落、死亡。現場は山頂近くの岩場。岸本さんが誤って足を滑らせた。八剣山は低山で入山者が多いが、山頂周辺は非常に切り立っており、毎年転落死や重傷等のニュースが後を絶たない。

日高山脈、十勝連峰で相次いで遭難死

 9/3ヤオロマップ岳の山頂付近で単独登山していた仙台市の高橋さん(63)が遭難死。高橋さんは8/30暴風雨や寒さで動けないと119番していた。悪天候のため捜索は難航していた。また幌尻岳に登った鹿児島県の山内さん(68)が、10/17北戸蔦別岳付近の山中で発見されたが既に死亡。山内さんは9月下旬に道内に入り、複数の山に登っていた。現場は同岳と隣のピパイロ岳との間を結ぶ登山道の近く。隣接の幌尻岳に登るために10/3に入山していた。十勝連峰では、10/12十勝岳温泉から入山し、行方不明になっていた千歳市の瀬戸口さん(73)が、8日後、富良野岳の登山道沿いに遺体で発見された。

【その他、気になったニュース】

チロロ岳登山道5年振りに整備

 6/18日高山脈登山会議は、2016年の連続台風で林道が崩壊し、使えなくなっていたチロロ岳一の登山道を5年振りに整備。同会議のメンバー8人は、笹刈りやロープ整備など残雪に覆われた6合目付近まで整備。

北根室ランチウェイ維持困難のため閉鎖

 中標津町から弟子屈町へ続く全長71.4㎞の長距離自然歩道「北根室ランチウェイ」について、ルート設定などを手掛けてきた住民グループの佐伯代表が閉鎖を発表。地元住民や国内外の観光客に人気の自然歩道だったが、メンバーの高齢化などでルートの維持が困難に。牧場地帯や摩周湖外輪山の登山道などを歩くコースで、佐伯代表らが2011年にルート設定を完了。外国人を含め年間2500~3000人が訪れていた。

◇硫黄山登山可能に

 2000年4月の落石死傷事故で立ち入り禁止となっていた活火山・硫黄山(アトサヌプリ)が、ガイド同行を条件に観光登山が可能となった。硫黄山の観光登山をめぐっては昨秋、林野庁など関係機関がガイド付きで特定のルートに限り許可し、19年ぶりに再開となっていた。

伊達紋別岳の補修用石運び協力相次ぐ

 伊達紋別岳の登山道が浸食し、伊達歩くスキー協会が補修用の石を7合目まで運ぶよう登山者にボランティア作業を呼びかけたところ協力が相次ぎ、登山口に用意した合計約150個の石の全部が登山者の厚意で山の上の作業拠点に運び上げられた。

◇日高山脈襟裳国定公園が国立公園化に

 十勝管内の6市町村と日高管内にまたがる日高山脈襟裳国定公園が、早ければ2021年度末にも国立公園に指定される見通し。国立公園に昇格すれば道内7カ所目。この公園は「北海道の背骨・日高山脈」が含まれ、総面積は国定公園として最大の約10万㏊。幌尻岳をはじめ上級者向けの山が連なっている。

◇室蘭岳白鳥ヒュッテ存続

 室蘭市は老朽化でいったん撤去を決めた鷲別岳(室蘭岳)山麓の山小屋「白鳥ヒュッテ」は、管理者が見つかれば建物を低額で譲渡してヒュッテを存続させることとなっていたが、室蘭工大ワンダーフォーゲル部卒業生有志らでつくる「(仮)白鳥ヒュッテ友の会」に譲渡される方針。譲渡後は、老朽化が進む建物の屋根や基礎など一部を修繕。運営費は、会費やインターネットで資金を募るクラウドファンディングなどで集める予定。

◇層雲峡・沢登りや滝で死亡等

 8/9層雲峡の荒井川で沢登り中の男性2人のうち1人が川に流され岡山市の熊谷さん(23)が死亡。2人が沢登り中は、最高気温24度であったが、救助を待っていた未明は最低気温が15度まで下がった。また、8/14銀河の滝で岩登りをしていた大阪府の男性(28)が滑落し、腰の骨を折るなどの重傷。男性は高さ120mの銀河の滝の頂上に登った後、岩肌にぶつかりながら約50m下の草地に転落した。

◇大雪山協力金7割賛成

 10/18環境省北海道地方事務所は、大雪山国立公園の登山道利用者に対し、導入を検討している協力金に関するアンケート結果を発表。回答者の7割が協力金を登山道整備や環境保全に活用することに賛成。環境省は導入に向け、関係する上川・十勝管内の自治体や民間団体と具体的な協議を進める。公園内には約300㎞に及ぶ登山道があるが、木道の腐食や破損が全体の75%に上っている。協力金は登山者の任意で集め、これらの補修に充てるのが狙い。

◇利尻山の登山道整備へ手拭い販売

 利尻山登山道等維持管理連絡協議会は、利尻山の環境保全に取り組む「コマドリプロジェクト」で、新たに手拭いの販売を始めた。収益は登山道の補修や登山マナーの普及啓発などに役立てる。

暑寒別天売焼尻国定公園30周年

 暑寒別天売焼尻国定公園が制定30周年を迎えた。記念のピンバッジを発売。バッジは増毛山地の固有植物のマシケオトギリとマシケゲンゲが描かれている。

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